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酸素透過性ハードコンタクトレンズ

1.従来のハードコンタクトレンズについて

従来は素材はPMMA(ポリメチルメタアクリレート)というアクリル樹脂の硬質プラスチックを使ったもので、純粋なPMMAは加工しやすく耐久性にすぐれおり、乾燥した状態でレンズを保存することも出来ましたが、酸素を通さないため装用時間に限界があり、装用時の違和感も大きいため、現在ではほとんど使われていません(このコンタクトレンズは傷が付きにくく、また傷が付いても研磨することが出来たため、非常に長持ちして10年くらい使っている人もよくいましたが、酸素透過性が全く無く、長期装用により角膜内皮細胞数が減ることが分かってから次第に使われなくなりました。角膜内皮細胞は、角膜の透明性を維持するために必要な大切な細胞で再生はしません。)

 

2.酸素透過性ハードコンタクトレンズについて

現在ハードレンズとして広く使用されている酸素透過性レンズ(O2レンズ)と呼ばれるものは、PMMAにケイ素を加えることで酸素を透過するようにしたものであり、材質的にもらかくなり装用感も向上してきています。

 

またハードレンズはソフトレンズと違って、装用中にも瞬きの度にレンズが動くことにより、涙が入れ替わって涙に含まれる酸素を取り入れることも出来るため、角膜により多くの酸素を供給することが出来ます。

 

ハードコンタクトレンズはレンズ自体が硬質な為、特に乱視用と謳っていない製品でも、ある程度までの角膜乱視であれば、レンズと角膜間を涙が埋める涙液レンズと呼ばれる効果により乱視矯正効果があります。またレンズが硬質なため、レンズのカーブは細かく分かれており(20種類くらいに分かれています。ソフトレンズではたいてい2種類です)、装用感の向上のためにはベストのカーブのレンズを選ぶ(選んでもらう)ことが大切です。

 

ハードコンタクトレンズでは、角膜に異常が起これば痛くて装用出来なくなるため、角膜障害が重度になることが少なく、安全性は比較的高いといえます。ただし、装着時の違和感はソフトレンズに比べて依然大きく、また激しい運動の際にずれやすい。人によっては(不正乱視や円錐角膜等がある時)ハードコンタクトレンズしか使用出来ない場合もあります。

 

一般にハードレンズはソフトレンズ(コンベタイプ)に比べて単価は高いが取り扱いは容易であり、レンズの寿命もより長いため、長く使えば使うほどソフトレンズより安価となる可能性があります。(普通に使用して寿命は2~3年)

 

 

3.酸素透過性HCLのケアについて

 O2 HCLは水を含まず、(レンズの内部まで菌が侵入することが無いので)消毒の必要は無く、洗浄、すすぎ、保存だけになります。洗浄液界面活性剤に酵素を配合したもので、酵素剤で汚れを分解し、界面活性剤で水濡れを保持しています。この際つけおき洗いだけで汚れが取れない場合こすり洗いを行う必要があります。

またO2 HCLは乾燥した状態で放置すると水濡れ性が悪くなり、レンズの特性が維持出来ない場合があるため、保存液中にレンズを保存します。

毎日洗浄していても、レンズに汚れが付着する場合は、蛋白除去剤(蛋白分解酵素)による強力洗浄を行います。

またレンズ表面の水濡れ性を一時的に良くする(ポリビニールアルコール等を含む)ウェッティングソリューション、HCL装着液もあります。

O2 HCLは柔らかく、表面に(ほとんどのレンズで)水濡れの良くなるような表面加工が施されているので、長期間使用していると傷がついたり、表面加工が剥げたりすることがよくあります。こうなると、見え方がかすんで来たり、レンズが曇りやすくなってきます。

O2 ハードコンタクトレンズの脱着やこすり洗いの際は、レンズ表面に傷を付けないよう気を付けましょう。